日本現象学・社会科学会 第34回大会プログラム

会場:東京大学(本郷キャンパス)  ※アクセス(新しいウィンドウが開きます))

大会参加費:会員無料、非会員500円(ただし大学学部生は無料です。)

【2017年11月25日(土)】(法文2号館2階1番大教室)

12:30 受付開始

13:00~13:45 一般報告 (→企画趣旨・概要



     自然主義的観点と現象学的観点からみた情動現象について 
小松伸二 (立正大学大学院)

13:45~14:30 総会

 


14:30~17:30  シンポジウム「当事者の声を聴くことから研究へ 」 (→企画趣旨・概要   

司会: 浜渦辰二 (大坂大学)
榊原哲也 (東京大学)
提題者: 西村ユミ(首都大学東京)
白井千晶(静岡大学)
特定質問者: 稲原美苗 (神戸大学)

18:30~ 懇親会(会場未定)

 

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企画趣旨・概要

【一般報告】

1 自然主義的観点と現象学的観点から見た情動現象について

小松 伸二 (立正大学大学院)

 本発表は情動がいかなる現象であるかを精査することが目的である。情動とは一般には怒りや悲しみ、喜びなどを経験することである。情動を経験しているとき多くの場合身体的反応が伴う。例えば悲しみを感じているとき、ひとは目から涙があふれる。ジェームズは情動のこのような身体的側面に注目し悲しいから泣くのではなく泣くから悲しいという生理学的反応によって情動が生じるという説(身体生理学説)を唱えた。情動についての生理学的観点からの説明は情動の認知説が影響力をもち、一時その説は影響力を弱めたがダマシオのソマティック・マーカー仮説により身体的変化が情動の基礎にあるという説が見直されるようになってきている。このような自然科学の観点、換言すれば自然主義の観点から捉えられた情動と現象学的に捉えられた情動が、いかなる関係にあるのかを本発表では検討したい。

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【シンポジウム】 「当事者の声を聴くことから研究へ」                      

司会: 浜渦 辰二 (大坂大学)
榊原 哲也 (東京大学)
提題者: 西村 ユミ(首都大学東京)
白井 千晶(静岡大学)
特定質問者: 稲原 美苗 (神戸大学)

 現象学と社会学とが交差するところに、いわゆる「質的研究」がある。社会学において、社会現象を調査する際の質的研究の方法として、グラウンデッドセオリーやエスノメソドロジー、会話分析などが、また生活史を記述する手法としてライフヒストリー、ライフストーリーなどが開発されてきたことは周知のことであろうが、現象学もまた、種々の先入見を取り払いながら当事者の生きられた経験をありのままに捉えようとする「事象そのものへ!」の精神のもとに、「質的研究」の現象学的研究法として位置づけられてきたという経緯がある。
 しかし、そもそも「質的研究」を行うとはどういうことなのか? そこではいかなる事態が生起しているのだろうか。質的研究においては、定量的な研究では決して掬い上げることができないような、当事者(たち)の経験世界とそこでの質的な経験を理解することが目指されると言ってよいと思われるが、そうした研究の出発点の少なくとも一つは、当事者(たち)の経験世界に身を置き、当事者(たち)の声を聴くことであろう。研究者はどのようにして当事者(たち)の経験世界に身を置き、彼らの声を聴くのだろうか。またそこからどのように研究へとつなげていくのだろうか。さらにそうした研究によって、当事者(たち)の経験世界やそこでの経験はどのように明らかになっていくのだろうか。質的研究にはさまざまなアプローチの仕方、研究方法が存在するが、探求される事象と方法とは独立なのだろうか。それとも、現象学という哲学が元来、探求する「事象そのもののほうから」記述と方法を立ち上げてきたように、探求されるべき事象そのもののほうから、研究への道筋が定まってくるのだろうか。
 本シンポジウム「当事者の声を聴くことから研究へ」では、看護学および社会学の分野で当事者(たち)の語りを聴くことをベースにして、そこから研究を展開してきた西村ユミ氏と白井千晶氏を提題者に迎えて、具体例を出していただきながら、これらのことを改めてじっくり考えてみたい。語りを聴くこととフィールドワークとの違いや、語りを聴くこととアンケート調査との違いについても、触れていただければと考えている。また、ジェンダー研究の実践として、障がいのある子供の母親に対して哲学カフェを行い、その語りについて質的研究を行っている稲原美苗氏を特定質問者に迎え、さらに議論を深めてみたい。 (企画担当委員:浜渦辰二、榊原哲也)

各提題趣旨


「遺伝性疾患患者の語りと時間経験の構造」                        

西村 ユミ(首都大学東京)

 常染色体優先遺伝多発性嚢胞腎(ADPKD)という単一遺伝子疾患がある。この疾患は、成人を過ぎて発症し、腎臓に多数の嚢胞ができることによって腎機能がしだいに低下し、いずれ透析や移植を必要とする。本発表では、ごく稀にみられる小児での発症患者とその家族(母親はADPKD)が、患者の生体腎移植(父親から子供への移植)を機に語った「うち」の経験に注目し、そこで編成された「時間経験」の構造を示す。発表者は10余年にわたってこの家族と関わりをもってきた。長期にわたって関わりつつ「語ること/語りを聴き取ること」において起こっていることを、研究の方法論という視点からも捉え直してみたい。

 

「「打ち明ける」-リプロダクションの構築主義的ライフストーリー・インタビュー」

白井 千晶(静岡大学)

 提題者はこれまで、リプロダクション領域のインタビューをおこなってきた。例えば産婆・助産婦、不妊、第三者が関わる生殖技術、里親・養親、社会的養護を子どもの立場で経験した人、自らの子を養子として託す人、などである。本発表では、どのように語りが調査者との相互作用によって構築されたか、何人かのライフヒストリーから具体的に提示して、議論の材料を提供したい。また、語られなかったことや、一貫しなかった語り、変化した語りを通して、「構築されないライフヒストリー」についても、考えてみたい。

 

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